家全体の温度を快適にする全館空調システム。
なんとなく「エアコンよりも電気代が高そう」というイメージをお持ちではありませんか?
結論、全館空調のほうがエアコンよりも電気代を安く抑えられます。
この記事では、全館空調とエアコンの違いや具体的な電気代の比較、全館空調を導入する際の注意点についてまとめました。
全館空調を導入検討中の方や、全館空調付きの建売住宅を購入検討中の方はぜひ参考にしてください。
全館空調はやめた方がいいと言われる理由について解説した記事もあわせてご覧ください。
そもそも全館空調とは?
全館空調システムは、冷暖房により家全体を365日適温に保つための設備です。
家中の寒暖差がなくなるため、「脱衣所が寒い」「2階が暑い」といったことがありません。
ハウスメーカーによっては「全館冷暖房」の名称の場合もありますが、同じものです。
なお、全館空調の役割は、冷房・暖房の他に換気も含まれます。
機種によっては空気清浄機能や調湿機能を備えたものもあります。
エアコンと全館空調の違い
全館空調システムとの比較に挙げられるのがエアコンです。
全館空調システムとエアコンは、どちらも室内の温度調整を行うための設備ですが、仕組みや機能には大きな違いがあります。
全館空調システムは、家全体の温度と湿度を一括して管理する空調設備です
家全体を均一に冷暖房するため、どの部屋でも同じ快適な環境を提供します。
また、多くの全館空調システムには高性能なフィルターや換気システムが組み込まれており、空気清浄機能が高いのも特徴です。
アレルギー対策に有効で、健康に良い環境を提供できます。
一方、エアコンは各部屋ごとに設置し、温度を調整します。
必要な部屋だけオンにしたり、部屋ごとの設定温度に差をつけることが可能です。
エアコンの導入コストは全館空調システムよりも低く、設置も比較的簡単であるため、初期投資が少なくて済みます。
全館空調の種類
全館空調システムは、仕組みによって大きく4つに分類されます。
それぞれの特徴を簡単にまとめたものが以下の表です。
種類 | 特徴 |
---|---|
天井吹き出し型 | 最も一般的な全館空調。 ダクトで全室に配管して室温を調整。 |
小屋裏冷房・ 床下暖房型 | 夏は小屋裏から冷気を、 冬は床下から暖気を送り室温を調整。 |
壁パネル輻射型 | 冷水や温水をパネル内に流して室温を調整。 |
壁掛けエアコン型 | 1台の高性能エアコンで、 各部屋の間仕切りに設置した採風場所へ風を送る。 |
全館空調システムの多くは「天井吹き出し型」です。
天井に専用設備と換気扇を設置、小屋裏などの空調室からダクトで全室に配管し、空調をコントロールします。
ダクトを通じて各部屋とつながっているため、追加でファンを付ける必要がありません。
また、「小屋裏冷房・床下暖房型」の床下暖房(いわゆる床暖房)のみを設置し、夏はエアコンで、冬は床暖房で温度調整をするケースもあります。
全館空調の電気代は高い?実例で紹介
全館空調システムは、家全体の室温を管理する分、普段あまり使わない部屋の空調も同時に管理することになります。
「その分、電気代がエアコンより高くなりそう」と思う方もいらっしゃいます。
結論として、全館空調だからエアコンより電気代が大幅に高くなるわけではありません。
トータルで比較すると、エアコンよりも全館空調の方が電気代が抑えられます。
以下はエアコン4台と全館空調の電気代を比較した表です。
比較条件 | エアコン(4台) | 全館空調 |
---|---|---|
稼働時間 | 18時間×9ヶ月 | 24時間365日 |
電気代/年 | 約13万円 | 約10万円 |
エアコン4台を18時間×9ヶ月稼働させた場合の電気代は年間約13万円。
一方の全館空調は、24時間365日稼働していても約10万円で済みます。
さらに詳しく知りたい方は、イシカワグループの以下の記事をご覧ください。
【エアコンつけっぱなし×高気密高断熱】実際の電気代や光熱費はいくら?
全館空調のメリット
全館空調システムのメリットは大きく3つあります。
- 室温が均一になる
- インテリアがすっきりする
- 清潔な空気が保たれる
それぞれについて、以下で詳しく説明します。
メリット(1)室温が均一になる
全館空調システムの大きなメリットの一つは、家全体の室温が均一になることです。
各部屋に設置されたダクトを通じて空気を循環させるため、リビング、寝室、キッチンなど、家中どの場所でも適温を保ちます。
廊下や脱衣所も快適な温度になるため、冬場のヒートショック防止にも繋がります。
メリット(2)インテリアがすっきりする
全館空調システムを導入すると、各部屋に個別のエアコンを設置する必要がありません。
エアコン取り付けスペースが不要な分、インテリアの自由度も高まります。
室外機も全館空調システム用の1台だけでOKなので、家の外もすっきりします。
メリット(3)清潔な空気が保たれる
全館空調システムの多くは、空気清浄機能や換気機能が備わっています。
花粉やホコリ、アレルギー物質を効果的に除去でき、清潔な空間を保つことが可能です。
特に、アレルギーを持つ方や小さな子供がいる家庭において、全館空調システムは非常に有益です。
定期的なフィルター交換やメンテナンスを行うことで、清潔な空気環境を長期間維持することができます。
ちなみに、トスケンホームの建売住宅に標準搭載されている全館空調システム「ブローボックス」は、温度と湿度どちらも一定に保つため、カビやダニの発生を防ぎます。
また、ウイルスや悪臭の除去効果が期待できる光触媒コーティングによって、家全体が空気清浄機のように爽やかな空間になります。
詳しくは以下のページをご覧ください。
全館空調のデメリット
全館空調システムには多くのメリットがある一方、デメリットも存在します。
導入する前に知っておきたいデメリットは以下の3つです。
- 空気が乾燥しやすい
- 導入コストが高い
- 部屋ごとの温度調整が難しい
それぞれ、詳しく見ていきましょう。
デメリット(1)空気が乾燥しやすい
全館空調システムは空気を乾燥させやすい特性があります。
特に冬期の暖房運転時、部屋の湿度が下がりすぎる可能性があるため注意しましょう。
乾燥した空気は肌や喉の乾燥を引き起こし、風邪を引きやすくなったり、アレルギー症状が出ることも。
全館空調システムを利用する際には、加湿器を併用し、湿度調整を心がけてください。
デメリット(2)導入コストが高い
全館空調システムの導入には高額な初期費用がかかります。
設置工事や機器の購入費用など、あわせて150万円〜300万円ほどかかると考えてください。
初期費用を考えるとエアコンを各部屋に付けたほうがお得です。
ただし、建売住宅で全館空調システムが標準搭載の場合は初期費用がかかりません。
エアコンを各部屋に自力で用意するよりも安上がりです。
トスケンホームの建売住宅も、全館空調システムを標準搭載。
入居時のエアコン購入費用を抑えることができます。
デメリット(3)部屋ごとの温度調整が難しい
全館空調システムは家全体の温度を均一に保つのが基本です。
特定の部屋だけを涼しくしたり暖かくすることは難しく「寝室だけ室温を低めにする」「脱衣所は特に暖かくしたい」などの設定ができません。
部屋ごとの温度調整が必要な場合には、他の例暖房器具を併用するのがおすすめです。
全館空調の電気代を下げる5つの方法
全館空調システムで電気代を節約する方法として以下の5つが挙げられます。
- 気密性・断熱性を確保する
- 定期的にフィルターを掃除する
- 風量を自動に設定する
- 設定温度を夏は高め、冬は低めにする
- 運転停止機能を活用する
それぞれ、詳しく説明します。
方法1:気密性・断熱性を確保する
家全体の気密性と断熱性は全館空調システムの電気代に大きく関わります。
気密性が高い家では、外部からの熱の侵入や室内の冷暖気の漏れが少なくなります。
その分、空調システムが効率的に作動し、余分なエネルギー消費を抑えることができます。
また、壁や窓の断熱性が高ければ、室内の温度変化を最小限に抑え、冷暖房の効果を引き出すことが可能です。
全館空調システムを導入する場合は、建築段階で気密性や断熱性にこだわりましょう。
方法2:定期的にフィルターを掃除する
全館空調システムのフィルターには、空気中のホコリや汚れがたまるため、定期的な掃除が必要です。
フィルターが詰まると、空気の流れが阻害され、システム全体の効率が低下し余計にエネルギーを消費します。
掃除や交換を定期的に行い空調システムの効率を維持しましょう。
方法3:風量を自動に設定する
風量設定を「自動」にすることも、電気代を下げる効果的な方法です。
自動設定にすることで、システムが室内の温度や湿度を感知し、最適な風量で運転を調整します。
温度調整の必要がなければ最低風量で運転するため、無駄なエネルギー消費がありません。
方法4:設定温度を夏は高め、冬は低めにする
設定温度を見直すことも、電気代節約につながります。
夏場は設定温度を高めに、冬場は設定温度を低めにすることで、システムが消費するエネルギーを抑制可能です。
具体的には、夏場は26〜28度、冬場は18〜20度に設定すると良いでしょう。
方法5:運転停止機能を活用する
一定時間が経過すると自動的に運転を停止する機能も活用しましょう。
不在時や就寝時など、必要のない時間帯にシステムが作動し続けるのを防ぎます。
タイマー設定やスケジュール機能を活用し、必要な時だけシステムを稼働させることで、効率的なエネルギー使用が可能です。
全館空調を導入する場合の注意点
全館空調システムを導入する際、注意したいポイントが2つあります。
- 住宅性能をチェックする
- アフターサポートを確認する
以下、それぞれについて見ていきましょう。
住宅性能をチェックする
全館空調システムの性能が最大限発揮できるのは、高気密・高断熱の住宅です。
どうしてもシステム機種や性能、価格に目が行きがちですが、大前提として住宅性能は必ずチェックしましょう。
高気密高断熱の住宅は、結露がしづらいため建物自体の寿命も伸びやすくなります。
アフターサポートを確認する
全館空調システムの保証期間やアフターサポート内容も詳しく確認しましょう。
全館空調システムは一度故障すると家全体の空調に関わります。
定期的なメンテナンスや故障時のサポート体制が充実しているメーカー・施工会社を選ぶのがおすすめです。
まとめ
全館空調システムは、家全体を快適な温度に保つメリットがありますが、導入には初期費用や維持管理のコストも考慮する必要があります。
この記事を通じて、全館空調の特徴や利便性、注意点について理解を深めていただければ幸いです。
トスケンホームの建売住宅には全館空調システム「ブローボックス」が標準搭載されています。
家中を快適な温度と湿度で保ちつつ、光触媒コーティングによりウイルスやアレルギー物質を取り除きます。
物件見学で実物を確かめることもできますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。