まるで姉妹のように見える「姉妹親子」や、友だちのように何でも気軽に話し合える「友達親子」など、最近では仲の良い親子が増えています。そのように親子の心理的な距離が縮まっている昨今、子世帯の中で親世帯と「同居」「二世帯」「近居」を望む傾向が高まっています。特に若い世代ほど、その思いが強いようです。実際に総計データを見ながら、最近の動向を見ていきましょう。
多くの子世帯が「同居」と「近居」を希望
ここでは、国土交通省が実施している「住生活総合調査」の統計データを参考にします。この表が示しているのは、住み替えの主な目的についてです。経年の変化を見てみると少子化の影響なのか、「住宅を広くする、部屋を増やす」は総じて減少しています。一方で、「親、子などとの同居・隣居・近居」は概ね増加しています。平成5年に4.1%だった数字は、平成25年には10.6%と倍以上に。共働き夫婦が増えた、保育園の待機児童数の解消が進まないなどの複合的な要素より、多くの人が「親世帯」と一緒に住むことを選んでいるという結果が出ています。この傾向は今後も続いていくのではないかと見られています。
「スープの冷めない距離」が大きな魅力に
特に、30~40歳代の世代は「近居」の意向が高いと言われています。では、なぜ「同居」「近居」を望むのでしょうか。それは、冒頭でも触れたように、親子の距離感が近付いたことが大きく関係しているようです。例えば、子どもが熱を出して保育園を休まなければいけない。そんな場合に気兼ねなく頼める存在、「親世帯」が近くにいることほど心強いことはありません。いざとなった時にすぐにサポートしてもらえる距離感、いわゆる「スープの冷めない距離」に大きなメリットを感じているようです。
近くなっている資金面の“距離”
心理面と生活面に加えて、資金面の“距離”も近くなっています。「住宅購入にあたり、両親からの援助の有無」については、「援助は受けていない」が54%と過半数を占めました。一方、パパの両親、ママの両親、パパとママの両親から援助を受けたと、親からの援助があった世帯は全体の45%にも達したことが分かりました。4割超が親世帯から資金面でサポートを受けており、それをマイホームの頭金や中古住宅購入時のリフォーム費用にあてています。
ますます縮まる親子の距離
親世帯と一緒に、あるいは近くに住むことは、心理的にも、資金的にも、生活面においても、さまざまなメリットが得られると言えます。そう考えると、今後も親と子の距離は縮まっていくことが予想され、それに伴い「同居」「二世帯」「近居」を望む傾向もますます強まっていきそうです。